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あの・・淡い日差しを一生・・忘れない・・の巻


17年前の今頃・・

わたしは分娩台の上にいた



26日早朝・・

おしるしがあった

なんとなく・・下腹部が重たい

もしかしてお産が始まるのだろうか・・

準備していた入院用のバックをチェックする




午前中に受診をしたら

お産になるということだった

お昼ごはんを食べてから入院することになった



陣痛室には

すでにひとりの妊婦さんがいた

もう・・ここに2日もいるとのこと・・



ダイスキな久保田を持ち込んで

パインのキャンデーを忍ばせて

銀色夏生の本を読みながら快適に過ごしていた




さすがに

夜の11時くらいになると

痛みが強く感じられるようになった

お産の時は

「痛い」と言いたくなかったわたしは

「痛くな~い」と強がっていた


銀行時代の友人が

無痛分娩を選んだときに

せっかく女の子に生まれたのに

陣痛を味合わないなんて

なんてもったいないことかと

実は・・そんな風に思っていた

が・・

さすがのわたしも

波のように襲ってくる痛みに耐えられず

この状態から無痛分娩に切り替えることはできないものかと思案してしまった



分娩室に移ったのは

日付が変わってからだった

もうひとりの妊婦さんも

ほぼ同時に隣の分娩室でお産の態勢に入った

かなり慌ただしい病院スタッフたち



分娩台は未知な世界だった

予想以上の激痛と

いきみたい衝動

誰もいない分娩室

医療器具の納められた医療棚

シンプルな掛け時計



平成5年3月27日1時47分

わたしは「お母さん」になった

女の子に生まれてよかったと思える瞬間だった

と同時に・・

母に感謝の気持ちを持った

こんな経験をさせてもらえて・・と・・

涙が止まらなかった



大方の予想に反し

女の子が我が家にやってきた

ずっと考えていた名前をつけられるのだな・・と



いろいろな処置の後

数時間・・分娩台で休んだ

あの時・・わたしは何を考えていたのだろう

心地よい疲れを受け入れていたんだろう




早朝・・

病室に移動することになった

看護婦さんは車いすを押しながら

「今日は晴れるわよ」って教えてくれた



病室のベットに横たわると

「お母さん」になった実感が湧いてきた

頭から布団をかぶり

ひとりでニヤニヤした



窓から差し込む淡い日差しは

切ないほどやさしくて

ほろほろと涙が出た

好きな人の赤ちゃんを産むことはこんなにも幸せなもなのかと・・

あの・・嬉しい感情と

あの・・淡い日差しを・・わたしは・・忘れない・・






わたしを「お母さん」にしてくれてありがとう

あなたがシアワセであることが

わたしの最大のシアワセです

お誕生日・・おめでとう
by takoyakimamasan | 2010-03-27 01:42